ダイエットはつらい思いをしなければ達成できない!そう思うのが普通ですね。ところが、つらい思いをしなくてもダイエットができる食材に注目が集まっています。

それは難消化性全粒穀物(精製していない穀物)です。難消化性全粒穀物とは、精製されておらず消化吸収されにくい穀物のことです。難消化性全粒穀物は、健康に良くて長生きするという効果があるとして、世界的にも関心が集まっています。実際、難消化性全粒穀物を普段から継続的にたべることで、内臓脂肪がたまりにくくなってメタボリックシンドロームになりにくくなることが報告されているのです。

この難消化性全粒穀物の代表が玄米です。玄米には、数々の人体に有益な特性が知られています。ざっとあげても、体重減少効果、食後の血糖とインスリンの上昇を抑える効果、血管の拡張機能を改善する効果、脂肪肝を改善する効果、コレステロールを下げる効果、高血圧を改善する効果、ガンや心血管系の病気ならびにアルツハイマー型認知症になるリスクを下げる効果、酸化ストレスを軽減する効果などが報告されています。

そしてダイエットをしたい人にとって特に注目したい効果が、琉球大学の益﨑らにより世界で初めて明らかにされた、玄米の「高脂肪食嗜好性の軽減効果」でしょう。特別な努力をしなくても、ただ玄米を食べるだけでダイエットができることの分子栄養学的メカニズムを、益崎らは発見したのです。

ここでは玄米がダイエットに有効である理由と、玄米ダイエットの方法や注意点について、可能なかぎり学術的根拠に基づきながら解説しています。結論を先に述べるなら、玄米は食べるだけでダイエットが可能です。今までに色々なダイエット法を試しても成功しなかった人やリバウンドしてダイエットを止めてしまった人に、本当におすすめのダイエット法が玄米ダイエットでしょう。

少々むつかしい専門用語が出てくることもありますが、専門的解説を読み飛ばしても玄米ダイエットについて理解することはできるので、気軽に読んでくださいね。

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ご飯を玄米に置き換えるだけでダイエットできるの?

玄米自体にダイエット効果があるか?言いかえれば、ご飯(白米)を玄米に置き換えるだけでダイエットできるか?という質問の答えは、どうやら「イエス」のようです。

これに関連する玄米の効能に関する徳島大学の研究では、8週間3食とも白米から玄米に置き換えただけで、総摂取カロリーは同じであっても明らかな体重減少が認められたというのです。さらにその研究報告の中で、玄米には食後血糖とインスリン値の低下、血管の拡張性能が良くなる、肝臓脂肪の減少、脂肪の多い食事を好む程度が低下するなどの効果もあったとしています。また、約74,000人を12年間追跡調査したハーバード医学校が行なった疫学調査では、玄米などの全粒穀物を食べる割合が多いと体重増加が少ないことが分かりました。これらの研究から、玄米そのものにダイエット効果のあることが明らかとなっているのです。

そして、玄米のダイエット効果について特筆すべき研究があります。琉球大学の益崎らは、玄米に多く含まれるγ-オリザノールに、高脂肪食が欲しくなる脳メカニズムをブロックする効果のあることを発見したのです。少し専門的な話になりますが、脂っこくて甘みのある食物(高脂肪高ショ糖食)に、麻薬と同様の依存効果(脳の報酬系を活性化)のあることが分かっています(ネイチャー誌に掲載されたペンシルバニア大学の研究)。この高脂肪食による麻薬のような依存反応を、玄米のγ-オリザノールが抑えるのです。つまり玄米には、高脂肪食を食べるのを止められない状態を軽減する作用まであることになります。

さらに、玄米を食べることでダイエットをしやすくなる現象があります。それは、玄米は「固い」ということに起因する効果です。固いのでよく噛まなければなりません。よく噛むことが、食欲を抑制する効果があるのです。正確には、よく噛むことで満腹中枢が刺激されて満腹感を感じ、食べる量を減らすことができるのです。大分医科大学名誉教授の坂田によれば、よく噛むことで脳内の神経ヒスタミンの分泌が増え、それにより満腹中枢が刺激されるだけでなく、交感神経も刺激されて脂肪の燃焼が促進されると同時に、脂肪の合成に必要な酵素の働きを抑え、脂肪の材料になるブドウ糖を脂肪細胞内に取り込むことも抑えてしまうということです。

また白米を玄米に替えるだけで、カロリーの吸収をユックリにすることができます。文部科学省の日本食品標準成分表2015年版では、玄米は白米の約6倍の食物繊維を含んでいるとされています。この豊富な食物繊維により、食物から体内に吸収される糖分(ブドウ糖など)が血液中に運び込まれるスピードが緩やかになります。つまり、血糖の上がり方が緩やかになるのです。血糖があまり上がらなくなれば、血糖を下げるために分泌されるインスリンの量が少なくて済みます。インスリンはブドウ糖(血糖の成分)を脂肪に作り替えて脂肪を増やすと同時に、脂肪を燃やしにくくもします。結果として、インスリンが多くなると脂肪が増えてしまうのです。玄米は、このインスリンの上昇を抑えることで、太りにくくする効果も持っています。

以上の玄米の効果に加えて玄米に含まれる食物繊維が、腸内の善玉菌の食料になって悪玉菌との適度なバランスを保つことを促進することも、体重増加を抑制する可能性があります。玄米は、腸内フローラ(腸内細菌のバランス)の改善を促すプレバイオティクス(善玉菌を増やすもの)としての食物繊維を、供給する源になるのです。また、調査した日本人の約90%の人が、海藻の多糖類を分解できる腸内細菌を持っていたとの報告(東京大学の研究)がありますが、これと同様に悪玉菌の一部は、人間が消化吸収することのできない多糖類を、人間が吸収可能な単糖類に分解することができるようです。その結果、本来は吸収されないカロリーが吸収されてしまう可能性や、腸内フローラの乱れが肥満になるリスクを高めることも報告されています。玄米は、このような悪玉菌を抑制することで体重を減らす効果も期待できるのです。

これまで述べた玄米の効果から、主食を白米から玄米に替えるだけで、ダイエット効果を期待できると言えるのではないでしょうか。

玄米ダイエットの方法と注意点

 

・玄米ダイエットの方法
先にも述べたように、ご飯(白米)を単純に玄米に置き替えるだけです。食べる量を減らす必要もありません。ただ、玄米には独特の味と臭いがあるので、いきなり全ての食事を玄米に置き替えることは辛いかもしれませんね。全てのご飯を玄米に置き換えるのがキツイと感じる人は、玄米を少しずつ白米に混ぜて、徐々に玄米の割合を多くしていくといいでしょう。

3食のうち1〜2食を玄米で置き換えるという方法もあります。しかし、1〜2食を玄米で置き換えるためには、玄米用の炊飯器と白米用の炊飯器を別々に持っておくか、玄米か白米ご飯のどちらかを冷凍保存して、食べるたびに解凍して温めなければならないので面倒かもしれません。

 

・玄米ダイエットの注意点
健康にいい玄米ですが、玄米選びには注意が必要です。お米は「籾殻(もみがら)+ぬか+胚芽+胚乳」という構造になっています。ご存知のように精製して胚乳だけになったものが白米で、脱穀して籾殻だけを取り除いたものが玄米です。玄米に残っている胚芽ですが、これには多くの栄養分が含まれている反面、農薬や化学肥料の有害な成分が残留している可能性があります。そのため玄米ダイエットをするにあたっては、有機JAS認証(3年以上無農薬かつ無化学肥料)の玄米を使用するといいでしょう。

ところで、玄米は発芽させると食べやすくなるとされています。しかし、発芽させることは食べやすくなること以上に良いことがあるのです。

玄米には、発芽を抑制しているアブシジン酸という有毒成分が含まれています。アブシジン酸は、細胞内でエネルギー産生をするミトコンドリアの機能を阻害します(アムステルダム自由大学の研究)。つまり、アブシジン酸にはミトコンドリアへの毒性があるということです。ミトコンドリアでのエネルギー産生が阻害されれば、細胞はエネルギーを作り出すことができずに種々の害が生じます。

さて、この有害なアブシジン酸ですが、その毒性を無害化するには玄米を発芽させてしまうことが最良の対処方法です。玄米は含水率30%以上で温度が15〜20°C以上という発芽条件が整うと、発芽抑制作用のあるアブシジン酸が、CYP707Aという酵素によりファゼイン酸にまで分解され発芽がはじまります。玄米を長時間水につけて発芽させることで、ミトコンドリア毒性のあるアブシジン酸が分解されてアブシジン酸の悪影響がなくなるのです。このような玄米を玄米ダイエットで使用することが望ましいでしょう。発芽玄米は市販されているので、それを購入するのもいいかも知れません。しかし、品質の悪い発芽玄米もあるようなので、メーカーのホームページや口コミを参考にして良質の発芽玄米を購入するように注意して下さいね。

おわりに

ダイエットして体重を減らすことは、極めて単純な法則に従っています。摂取するカロリーより消費するカロリーが「多ければやせる」「少なければ太る」「同じであれば体重は変わらない」、たったこれだけの法則でダイエットは結果を左右されるのです。

ここで摂取カロリーとしているものは、厳密に言うと血管などの中に取り入れられるカロリーを指します。テレビによく登場するギャル曽根さんは、ウソか誠かは定かではありませんが、食べたものが消化管(主に胃腸)に止まっている時間が異常に短いために、食べたものが吸収されにくいらしいのです。普通の人が、ギャル曽根さんのような体質になることはできません。しかし、食べたものの吸収をゆっくりにさせて、太りにくくすることはできるのです。

そこで、玄米ダイエットです。玄米はカロリーの吸収スピードをゆるめ、インスリンの上昇を穏やかにして太りにくくするだけではなく、腸内フローラの改善による余分なカロリーの吸収を抑える効果も期待できます。さらに、満腹感を感じることも促進できるうえ、高脂肪食を食べたくなる欲求も抑える作用まであります。しかも玄米を使ったダイエットの方法は、ご飯(白米)を玄米に置き換えるだけです。そして玄米ダイエットで最大のメリットは、食べる量を減らさなくてもダイエットができることではないでしょうか。

このように玄米ダイエットは、努力いらずで空腹なしの楽チンダイエットです。今まで努力して行うダイエットに挫折した人も、玄米ダイエットならダイエットをし続けることができるかもしれませんね。

関連外部リンク:各種TV・雑誌などのメディアで話題沸騰!『これが玄米!?』と誰もが驚く、もっちもちの玄米ごはん【寝かせ玄米ごはん(レトルトパック)】

筆者紹介:米澤利幸
島根医科大学(現島根大学医学部)卒業
福岡大学大学院修了(医学博士)
日本精神神経学会認定専門医
赤坂心療クリニック院長