コンブチャ(KOMBUCHA)というの飲み物をご存知ですか?コンブチャ(KOMBUCHA)とは、酵母と細菌を一緒に培養してできたパンケーキ状のSCOBYというものの一部を、甘みをつけた紅茶などに入れて室温での発酵のあと、冷蔵庫の低温で再発酵させるという二重発酵をさせた飲み物のことです。日本でむかし流行った紅茶キノコのことですね。

このコンブチャ(KOMBUCHA)は、世界的な市場調査およびコンサルティング会社であるMarkets and Markets社の分析によると、2020年には世界で18億ドル(1ドル110円換算で約2000億円)と2015年の売り上げの3倍を達成すると予測されています。それほどに人気のある健康飲料のようです。

では、なぜコンブチャ(KOMBUCHA)はこんなにも健康飲料として広まり、そして米国で一般大衆に飲まれるようになった1990年以来、現在も未だに愛飲されているのでしょうか?その理由を栄養学的あるいは社会心理学的に解明した報告はないようです。しかし、コンブチャ(KOMBUCHA)に含まれている健康に良く、かつダイエットに役立つとされる成分の多さがその理由の1つなのかもしれません。

北米で人気のコンブチャ(KOMBUCHA)ですが、製造メーカーがアピールする健康への有用性に反して、近年のマスコミ報道や学術的報告はメーカーの主張に反する見解が多いようです。ここでは、コンブチャ(KOMBUCHA)の簡単な由来と健康成分に関して解説し、コンブチャ(KOMBUCHA)が本当にダイエット効果があるのか?について探ります。本当に健康に良くてダイエットに効果があるなら、言うことなしの逸品ということになりますね。さてさて真実はいかに?

コンブチャ(KOMBUCHA)の正体は?

コンブチャ(KOMBUCHA)は紀元前3世紀の満州地方に起源を発し、日本には韓国人医師Kombuにより天皇の治療のために持ち込まれたとされています。ヨーロッパにおいては、1960年代にスイスでコンブチャ(KOMBUCHA)とヨーグルトの健康への有用性が同等であるという研究報告がなされてから、注目されるようになりました。また米国では2010年に、コンブチャ(KOMBUCHA)製品に規定以上のアルコールが含まれているというスキャンダル報道によって、かえって一般大衆の関心が高まったようです。

ところで、このコンブチャ(KOMBUCHA)ですが、その正体は何かと言われても一口で説明するのが難しい飲み物です。飲むヨーグルトのようなものですが、正確にはヨーグルトとは全く異なる飲み物です。ゲル状(寒天みたいなもの)でパンケーキにもキノコにも見える酵母と細菌の培養物(SCOBY:symbiotic colony of bacteria and yeast)を、お茶や紅茶に入れて発酵させた飲み物です。日本でも昭和40年代から50年代にかけて、健康に良いとされたうえ自宅で簡単に増やせるということもあり、紅茶キノコという名前でブームになりました。

このコンブチャ(KOMBUCHA)のお味はというと、ほろ苦くて酸っぱく、ちょっと甘さのある、発泡性でわずかにシュワっとしたものです。そしてコンブチャ(KOMBUCHA)には、これでもか!というほどの栄養成分や、腸内環境(腸内フローラ)を整える成分が含まれています。

そして、健康によい成分が含まれていること以上に、北米でコンブチャ(KOMBUCHA)が人気を博している一番の要因は、コンブチャ(KOMBUCHA)はAIDSやガンなどという深刻な病気にも改善効果があると、一般に信じられていることだと思われます。Memorial Sloan Kettering Cancer Centerの発表によれば、コンブチャ(KOMBUCHA)にAIDSやガンなどの重篤な疾患への効果は証明されてはいないとのことです。しかし、コンブチャ(KOMBUCHA)に、多くの健康成分が含まれていることは否定できない事実でしょう。

コンブチャ(KOMBUCHA)は健康成分のオールスターズ?

コンブチャ(KOMBUCHA)に、どれほど多くの健康に良い成分が含まれているかを見てみると、コンブチャ(KOMBUCHA)には、酵母や有用な細菌のほか、果糖、ブドウ糖、グルコン酸、グルクロン酸、ウスニン酸、乳酸、酵素、アミノ酸、ポリフェノール、エタノール、グリセロール、ビタミンB群、ビタミンCが含まれているとされています。

さらに日本で発売されている製品には、グルタチオン、ミネラル、リンゴ酢、乳酸菌(殺菌)、オリゴ糖、ビタミンB群の中でもB1、B2、B6、葉酸、アミノ酸の中でもL-シトルリンなどが含まれていると表示されているものもあるようです。

これらの成分が、どのように健康に良いかと言いますと、

・果糖:体内でブドウ糖に変えられエネルギー源となる。血糖を直接には上げないので脂肪を貯める作用のあるインスリンを増やさない。

・ブドウ糖:動植物のエネルギー源。脳が利用できる唯一のエネルギー源。

・グルコン酸:ビフィズス菌の食料になってビフィズス菌を増やす。

・グルクロン酸:毒素の排出に関係。粘膜を保護するムチンの材料。肝臓で解毒に利用され、胃や腸の粘膜を健康に保つ。疲労を回復する効果もあり。

・ウスニン酸:結核菌や病原菌への抗菌効果。

・乳酸:エネルギーを生みだすクエン酸サイクルで利用される。腸内を酸性にして悪玉菌が増え過ぎることをおさえる。

・タンパク質:体をつくっている成分で栄養補給になる。

・アミノ酸:タンパク質の材料で栄養補給になる。

・酵素:タンパク質であるのでタンパク質と同様の意義。消化管内で働くのは消化酵素のみ。

・ポリフェノール:活性酸素を少なくして細胞を守る。

・エタノール(アルコールのこと):胃の動き(蠕動:ぜんどう)を良くして食欲が増進。血管を拡張させて血行を良くする。脳の抑制が取れ緊張がほぐれ陽気になり会話が弾む。沈んだ気持ちを和らげる。

・グリセロール:高カロリーだが虫歯になりにくいエネルギー源。

・ビタミンB群:三大栄養素の糖、タンパク質、脂質の燃焼(エネルギーに変える)に必要な栄養素。B群の葉酸は造血効果。

・ビタミンC:有害な活性酸素を減らし、皮膚や粘膜の健康を維持し動脈硬化や心疾患を予防。

・グルタチオン:活性酸素を減らして細胞を守る。

・ミネラル:体を維持するうえで欠くことのできない栄養素。

・L-シトルリン:アミノ酸の1つ。抗酸化作用のある一酸化窒素の産生を高め、動脈硬化を防ぎ血管を拡張して血行を良くする。

・リンゴ酢:インスリンの感受性を正常に戻したり腸内環境を改善。

・乳酸菌:乳酸菌の作る乳酸は腸の動き(蠕動:ぜんどう)を活発にし、腸内を酸性にすることで悪玉菌の繁殖を抑え腸内環境を改善(プロバイオティクスですね)。元株式会社ヤクルト本社中央研究所副主席研究員の菅辰彦は、乳酸菌の菌体自体(生菌でも死菌でも)が免疫を活性化する可能性を指摘。

・オリゴ糖:善玉菌の食料となって腸内環境を改善(プレバイオティクスと言います)。

注)プロバイオティクスとは、ギリシア語で「生物に益をもたらすもの」の意味で、人の体に益をもたらす生きた微生物のこと。例えば乳酸菌やビフィズス菌など。プレバイオティクスは、英国の微生物学者Gibsonによって1995年に提唱された用語で、プロバイオティクスとなる微生物の食料となり腸内フローラを改善する栄養源のこと。

如何でしょうか?コンブチャ(KOMBUCHA)の有効成分の多さには本当に驚きますね。これらの成分について、あるコンブチャ(KOMBUCHA)製品のメーカーは、カロリーの燃焼系の成分とカロリー源(食べたもの)の排出系の成分、腸内環境の改善成分であるとするような主張をしているようです。その信憑性(真実であるかどうかの確からしさ)はなんとも言えませんが、コンブチャ(KOMBUCHA)に多くの栄養素が含まれていることは確かですね。

コンブチャ(KOMBUCHA)でダイエット!

これまで述べたように、コンブチャ(KOMBUCHA)に多くの体に良い成分が含まれていることは分かりました。しかし、コンブチャ(KOMBUCHA)でダイエットはできるのでしょうか?

ずばり、コンブチャ(KOMBUCHA)でダイエットすることは可能です!

実際にコンブチャ(KOMBUCHA)でダイエットする方法は、置き換えダイエットです。普通に飲み食いしながらコンブチャ(KOMBUCHA)を飲んでもダイエットはできません。ダイエットを達成するには、1日1食か2食をコンブチャ(KOMBUCHA)で置き換えて、1日の摂取(体に取り入れる)カロリーを少なくする必要があります。

しかし、このカロリー制限は、ダイエットにおいて実行することが最も難しいものでしょう。言い換えるなら摂食衝動(食べたくて食べたくて我慢できない欲求)との戦いが、ダイエットにおける最大の問題となります。そして摂食衝動への最良の対策は、満腹感を得るようにすることです。

ところで満腹感は、脳の視床下部というところにある満腹中枢が刺激されることによって生じます。満腹中枢が刺激される要因は、(1)血糖の上昇、(2)胃の膨張(ふくらむこと)、(3)咀嚼(噛むこと)があげられます。また、視覚的にこれだけ食べたんだと意識と意識下で認知することも、満腹中枢に作用するという考えもあります。ここでは(1)(2)(3)に絡めて、コンブチャ(KOMBUCHA)の有効な利用法について提案します。

(1)血糖の上昇にコンブチャ(KOMBUCHA)を利用
血糖が上がるとインスリンが分泌され、インスリンは血糖を下げるとともに、脂肪細胞に作用してレプチンというホルモンを分泌させます。レプチンは満腹中枢を刺激して、満腹感を生じさせます。このようなメカニズムが働くまでに20分程かかります。

日本で市販されているコンブチャ(KOMBUCHA)の1回あたりの摂取カロリーは40-70Kcalであり、その殆どが炭水化物ですから最終的にはブドウ糖に変えられます。つまり、血糖が上がるのです。満腹中枢が刺激されて満腹感を感じるまでには20分ほどかかるため、用意したコンブチャ(KOMBUCHA)の半分から3分の2をゆっくり飲み、残りは20分ほどかけてチビチビ飲んで満腹中枢が働き始めるまでの時間稼ぎをする、というような飲み方がいいかもしれませんね。ただコンブチャ(KOMBUCHA)を20分もかけて飲むだけでは退屈極まりないため、メールやSNSのチェックや返信をしながらコーヒーがわりに飲むのがおすすめです。

(2)胃の膨張にコンブチャ(KOMBUCHA)を利用
胃がふくらむと迷走神経を通じて満腹中枢に胃がふくらんだという情報が伝わり、満腹中枢を刺激して満腹感が生じます。日本で発売されているコンブチャ(KOMBUCHA)の推奨容量は1回あたり20−60mlで、これを水や炭酸水などで3倍くらいに薄めて飲むことも良いとされています。

3倍に薄めると60ml−180mlになりますが、毎食前に1回あたり500mlの真水を飲むことでダイエット効果があるとの学術論文(バーミンガム大学の研究)もあり、コンブチャ(KOMBUCHA)も1回あたり250−300mlくらいになるように薄めて飲めば、満腹中枢を刺激できる可能性があるのではないでしょうか。

(3)咀嚼(そしゃく:噛むこと)にコンブチャ(KOMBUCHA)を利用できるの?
3つ目の要素である咀嚼ですが、咀嚼はセロトニンとヒスタミンの分泌を増やして満腹中枢を刺激して満腹感を生じさせます。コンブチャ(KOMBUCHA)は液体ですから、そう何回も噛んで飲むのは難しいでしょう。コンブチャ(KOMBUCHA)と咀嚼で満腹感を得るには、少量の煎り大豆などをよく咀嚼して、コンブチャ(KOMBUCHA)で飲み込むというような工夫が必要かも知れませんね。

以上のように、コンブチャ(KOMBUCHA)で満腹中枢を刺激して、摂食衝動に打ち勝ち摂取カロリーを減らすことができるのではないでしょうか。結果として、コンブチャ(KOMBUCHA)でダイエットができるということになります。

コンブチャ(KOMBUCHA)に死角なし?

コンブチャ(KOMBUCHA)の有用性が一般に信じられている一方で、学術的研究報告にはコンブチャ(KOMBUCHA)に否定的な報告と有用であるとの報告があるようです。2003年に英国の大学が報告したコンブチャ(KOMBUCHA)に関する系統的レビュー(過去の研究を総まとめした報告)では、コンブチャ(KOMBUCHA)の有効性を支持する研究報告はなかったとしています。また、コンブチャ(KOMBUCHA)の飲用後に死亡した人や肝障害、アシドーシス(体内が酸性に傾く)や炭疽菌感染をきたした人がいるとの報告があったようです。

さらに、ゲルフ大学(カナダ)のK.Warriner教授も、コンブチャ(KOMBUCHA)の有用性の根拠となる学術研究が殆どない一方で、肝障害などの健康被害が生じたという報告はあるとしています。しかし、この健康被害は、コンブチャ(KOMBUCHA)という酸性の飲み物を、あまりにも多く飲み過ぎたことによって生じた健康被害であるとしたうえで、次のようにコメントしています。コンブチャ(KOMBUCHA)は、アルコール含有量が0.5パーセント以下であり比較的カロリーも低く、適量を飲むなら多分、大丈夫なはずですよ!と。

それに反し、コンブチャ(KOMBUCHA)が有用であるとの報告も散見されます。アラスカ大学のHartmann博士によるネズミの研究では、コンブチャ(KOMBUCHA)を長期に飲んでいたネズミに体重増加の抑制が確認され、寿命も延びることが観察されました。この研究結果は、コンブチャ(KOMBUCHA)が人間にもダイエット効果をもたらす可能性を支持するものであるかも知れないと考察しています。

このダイエット効果がどのようなメカニズムで生じるのかは不明であるとしているものの、コンブチャ(KOMBUCHA)が消化吸収に何らかの影響を与えたり、コンブチャ(KOMBUCHA)から得られる遊離キサンチン(交感神経を刺激する)が、代謝(ここではエネルギー消費と同じと考えてください)を増やす可能性があるのではないかと推測しています。

以上より、コンブチャ(KOMBUCHA)に死角があるとするならば、学術的な研究からはコンブチャ(KOMBUCHA)がダイエットに効果があるであるとか体にいいであるとかという根拠は見当たらないこと、そして、まれではあるけれども重い副作用が生じる可能性があることが、コンブチャ(KOMBUCHA)の死角と言えるかも知れません。しかし、副作用の多くは、コンブチャ(KOMBUCHA)を飲みすぎて生じている可能性があり、推奨される量の範囲で飲用するなら健康被害を心配しなくても良いのではないでしょうか?特に北米でコンブチャ(KOMBUCHA)は多くの人に飲み続けられており、健康被害は殆ど報告されていないのです。この事実は重視すべきかも知れませんね。

おわりに

ここではコンブチャ(KOMBUCHA)に、非常に多くの健康成分が含まれていること、その有用性と危険性、そしてダイエットへの利用法などについて解説しました。改めて内容を振り返ってみても、果たしてコンブチャ(KOMBUCHA)そのものが健康に役立ちダイエットに効果があるのかを判断するのは、難しいと感じるかも知れませんね。

しかし先に述べたように、コンブチャ(KOMBUCHA)を正しく利用して置き換えダイエットを行えば、ダイエットを成功させて理想の体型を維持することは必ずできるはずです。そして、人間でも単純なカロリー制限と減量だけで寿命が伸びることが知られています。コンブチャ(KOMBUCHA)には多くの健康成分が含まれています。これらの健康成分がダイエットによる長寿効果と相まって、健康状態をより良いものにする可能性は大いにあるのではないでしょうか?

ただし、コンブチャ(KOMBUCHA)は酸性の飲み物です。報告にもあったように、飲みすぎると肝臓を壊したり健康に支障が出る可能性があります。コンブチャ(KOMBUCHA)を適切に利用して、ダイエットを成功させ健康を増進させてくださいね。ただし、くれぐれも飲み過ぎには注意しましょう!

筆者紹介:米澤利幸
島根医科大学(現島根大学医学部)卒業
福岡大学大学院修了(医学博士)
日本精神神経学会認定専門医
赤坂心療クリニック院長