ダイエットを成功させるコツの一つに睡眠があります。
米国立保健統計センター(NCHS)のデータで睡眠時間別の肥満率の割合をみてみると、7~8時間が最も少なく22%で6時間~7時間未満が28.4%、9時間以上で26.3%となっています。睡眠が肥満だけでなく、美容・健康維持に必要なのは知られていることですが、なぜダイエットにも睡眠が必要なのでしょうか?
それは『ホルモンの乱れ』による影響といわれています。

ダイエットと聞くと、まず、運動や食事のことが思い浮かぶと思います。何を食べちゃダメとか何を食べれば必ず痩せるといったことが言われますが、結局のところ、現在、科学的に証明されている痩せ方は『消費カロリーを摂取カロリーよりも多くする』という方法だけです。そして消費カロリーの多く(70~80%)を占めるのが、アスリートや重労働のお仕事をやられている方でない限りは、基礎代謝となります。
基礎代謝とは一日中何もしていなくても生きていくうえで必要なエネルギーです。そしてこの基礎代謝を調整している一つの要素が『ホルモン』なのです。
ホルモンは体の中で作られて、外部からの影響により変動し、極微量で精密に調整されています。多くのダイエット法がこのホルモンを利用した方法が使われています。(話が逸れてしまうので今回は割愛します)

<睡眠とホルモン>

それでは睡眠がダイエットに関わるどんなホルモンを調整しているのでしょうか?様々なホルモンが関わっていますが、今回は5種類のホルモンをご紹介します。

【成長ホルモン】
名前の通り、成長に関わるホルモンですが、脳の下垂体というところから分泌されているホルモンで、肌や筋肉の修復、脂肪の代謝を促す働きを持っています。これまで夜の0時~3時がゴールデンタイムと言われていましたが、時間帯ではなく睡眠後3時間ほどで分泌がピークとなると言われています。肌の修復やトレーニング後の筋肉の回復、脂肪の燃焼を効率的に行うには3時間以上のまとまった睡眠が必要とされています。
【コルチゾール】
糖質や脂質、タンパク質の代謝をつかさどるホルモンでお腹の中の副腎という小さな臓器で作られています。別名『ストレスホルモン』とも呼ばれ、体がストレスを感じたときに分泌量が増えます。元々、一日の中で朝が一番高く夜にかけて下がってくる変動があります。睡眠不足によるストレスにより分泌量が増え、脂肪を蓄えたり、筋肉を分解して血糖を上昇させたりする作用があります。
【インスリン】
体の中で唯一の血糖を下げるホルモンで、膵臓で作られます。体中の細胞に糖を届ける大事なホルモンですが、糖を脂肪に置き換えて蓄える作用があります。睡眠不足により分泌量が増えると肥満を助長すると言われています。ダイエットを考える上で特に重要なホルモンの一つです。
【レプチン・グレリン】
この2つは食欲に関わるホルモンです。簡単に言うとレプチンは『食欲を抑えるホルモン』、グレリンは『食欲を増進させるホルモン』と言えます。〝レプチン″は脂肪細胞により作り出されており、脳に作用して、食欲を抑えて、エネルギー消費を増やしてくれるダイエッターにはありがたいホルモンです。その対をなすホルモンが〝グレリン″で、胃から分泌され、空腹を感じさせる作用があります。睡眠不足になるとレプチンが減少し、グレリンが増加します。そして、レプチンが上昇することによってグレリンは低下します。また、成長ホルモンとの関連もあり、成長ホルモンが分泌されることによってもグレリンは低下すると言われています。十分な量の睡眠をとることで、レプチンを増加させ(同時にグレリンを低下させ)、燃焼しやすい体質に近づけるのです。

以上、5つのホルモンをご紹介しました。
睡眠時間が短いだけで太るわけではないですが、睡眠のちょっとしたコツで日々のダイエットがより楽しく充実したものになるかもしれません!

筆者紹介:Jongavacho
医師5年目の勤務医ですが、ダイエット歴は10年です。丁寧な対応と笑顔を大切に日々精進しております。